結論を先に言え

不寛容のパラドックスに挑む

流行りに乗れない

流行りに乗るのが苦手。こう書くと流行りに流されない俺カッケー的な響きに聞こえるが、そういうわけではない。普通に、流行りに乗りたくても、乗れない。タイミングが謎すぎる。

え、この波乗っていいんすか?と周りを見てた次の瞬間、もう次の流行が叩きつけられている。みんな何をきっかけに流行に食いついてるんですか?何かそういう命令が出てるの?

いざ決心がついて、いっちょ流行りに乗ってみますか・・・って時にはみんなもう飽きて話題が過ぎ去っている。完全に乗り遅れ。俺はもっとタピオカを堪能したかったよ。典型的ダメなやつのムーブ。

流行は高校生が起こしてオッサンが終わらせる、みたいに言われるが、オッサンの波にも乗れてない。俺もこう、華麗に流行の波を乗りこなしてえんだよ・・・

 

 

一念発起、リングフィットアドベンチャーを買った。理由はもちろん周りの人がこぞって始めていたから。もはや完全にオッサンの波だが、なりふり構っていられる余裕など、この俺には無い。今度こそは流行を捕まえて見せる。正直もう何でも良いから、波に乗りたい。自分が、流行に乗れるんだという実感が欲しい。しかもこの流行に乗ると、ついでに健康な体が手に入るってんだから乗らない理由が無い。

というか健康診断で毎回C判定をたたき出している肝臓関連の何かしらの値を何とかしたい。酒もそれほど飲んでないのに・・・他の値はオールAであることを鑑みるに、シンプルかつピンポイントに肝臓が弱いという結論が導かれる。そんなことってある?

 

 

リングフィット購入から数か月、浮き沈みはありながら意外と続いている。なんか腕のあたりの筋肉と腹筋がついた気がする。腹回りの内臓脂肪はまだあるが、やや減ったかもしれない。みんなこぞって買い漁っていた理由が、今なら分かる。プレイヤーに運動を継続させるための様々な工夫が至る所にちりばめられているのだ。

とはいえ、最初はこのゲームが匂わすマッチョな思想にやや引き気味だった。そもそも専用コントローラーの箱に「筋肉は一生の友達」みたいな、暑苦しいセリフが書いてある時点で、こちら一般人サイドとの温度差を感じていた。が、すぐに違和感は無くなった。運動すれば運動しただけ、必ず筋肉はつくのだ。勉学、恋愛、趣味、あらゆるものにそそぐ努力は、その成果を必ずしも保証しないが、筋肉にそそぐ努力だけは別なのだ。筋肉は、決して裏切らない。そう、俺と筋肉のビクトリーは約束されている。

 

 

更に数か月、リングフィットのストーリーは全部クリアし、町の住人とイカレたロボットの頼みも馬車馬のごとく全てこなし、今はいつ終わるかもわからんエクストラステージを淡々とこなしている。

こぞってリングフィットを始めていた周りのアホどもは、誰一人継続していない。逆に継続できている俺が流行に乗れてない雰囲気が漂っている。端的に言って地獄だ。これまでドラゴに苦しめられる哀れな人々を助けるべく必死にスクワットしていたのに、今は何の理由もなくやれ走れだ、やれリングを押し込めだと指示が飛んでくる。しかも喋る輪っかから命令されているのだ。何?その世界観は。純粋に、意味が分からない。

というかもう、俺はアンダーテールをプレイしたくて仕方がない。知ってますか?アンダーテール。俺はよく知りません。ネタバレを踏まないように概要と評価を調べたんですが、それはもうハチャメチャに面白いRPG?シューティング?みたいなゲームってことだけは分かりました。

もう流行りとかリングフィットとかどうでも良い。本当に良いものは流行とか関係なく面白れぇんだよ。そもそも自分の判断基準を自分以外の何かに依存してる時点で幸せから遠ざかってることに気付けよ。俺はただ、リングフィットを投げ出してアンダーテールをプレイしたいだけなんだ。